医療法人社団恒歯会

なぜ歯周病治療にマイクロスコープを使うのか

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マイクロスコープを用いた精密歯周病治療

なぜ歯周病治療にマイクロスコープを使うのか

歯周病治療では、歯ぐきの上に見えている歯石だけでなく、歯周ポケットの中に入り込んだ歯石やバイオフィルムなどを取り除く必要があります。

しかし、歯周ポケットの中は肉眼では確認しにくいため、従来の歯周病治療では、器具を歯根面に当てたときに指先に伝わる「手の感覚(触知)」を頼りに処置する場面が少なくありません。触知は歯周病治療に欠かせない技術です。

しかし私たちは、手の感覚だけに頼るのではなく、確認できるものはできる限り「見て確認する」ことが、より精密な治療につながると考えています。

そのために使用しているのが、歯科用マイクロスコープです。


「取れた」と判断しても、歯石が残っていることがあります

歯周ポケットの中の歯石を完全に確認・除去することは簡単ではありません。

1990年の研究では、スケーリング・ルートプレーニング後の476歯面を顕微鏡で調べたところ、57%の歯面に微細な歯石の残存が認められました。

さらに、顕微鏡で歯石が残っていた歯面のうち、77.4%は臨床的には「歯石なし」と判断されていました。

つまり、術者が手の感覚では「取れている」と判断していても、実際には歯石が残っている場合があるということです。

出典:Journal of Periodontology,1990

 

歯周病が進行するほど、歯石の除去は難しくなります

歯周ポケットが深くなるほど、歯石の除去が難しくなることも報告されています。

Rsbbaniらの研究では、ポケットが深くなるほど歯肉縁下歯石(ポケットの中の歯石)の残存が増えることが示されています。

また別の研究では、通常の非外科的なスケーリング後に歯石が完全に除去されていた歯面は、

1~3mm:86%

4~6mm:43%

6mm超:32%

と報告されています。

特に、歯根の溝やくぼみ、複雑な形態をした部位では、治療の難易度はさらに高くなります。

歯周病が進行するほど、「手の感覚だけで確実に処置する」ことは難しくなる。

これが、私たちが視覚情報を重要視する理由です。

出典:Journal of Clinical Periodpntology,1986

「手の感覚」に「視覚」を加える

マイクロスコープを使用する目的は、手の感覚を否定することではありません。

触知に、拡大された資格情報を加えること。

マイクロスコープによって、肉眼では確認しにくい歯根面や沈着物、器具の動きを拡大して確認できる範囲が広がります。

当院では、

  • 手の感覚だけに頼らず、視覚から得られる情報も加える
  • 肉眼では確認しにくい歯根面を拡大して確認する
  • 歯石などの沈着物の取り残しをできる限り減らす
  • 必要な場所を見極めながら器具を操作する
  • 歯根面に対する必要以上の処置を避ける

ことを目的として、マイクロスコープを使用しています。


マイクロスコープを使用した治療についても研究されています

重度歯周炎患者の抜歯予定歯を対象に、肉眼・拡大鏡・歯科用マイクロスコープを使用したスケーリング・ルートプレーニング(SRP)を比較した研究では、処置後の歯根面を分析した結果、マイクロスコープを使用した群で、より良好な歯根面清掃結果が認められたと報告されています。

また、拡大視野を用いた別の研究でも、肉眼で処置した場合と比較して、残存歯石が少なく、歯根面へのダメージも少なかったと報告されています。

ただし、マイクロスコープを用いた非外科的歯周治療については、現時点で大規模な臨床研究が十分に蓄積されているわけではありません。

当院では、マイクロスコープを使用すれば必ず治療結果が良くなる、という考え方はしていません。

出典:Contemporary Clinical Dentistry,2013

出典:Journal of Indian Society of Periodontology,2018

マイクロスコープを使えば、すべてが見えるわけではありません

マイクロスコープを使用しても、深い歯周ポケットの中や複雑な歯根面をすべて直接確認できるわけではありません。

歯肉に覆われている部分や、器具・光が届きにくい場所もあります。

だからこそ、

「マイクロスコープなら全部見える」ではなく、「確認できる情報を増やす」

というのが、当院の考え方です。


「取れたつもり」をできるだけ減らしたい

歯周病治療で大切なのは、マイクロスコープという機械そのものではありません。

大切なのは、歯根面の状態をできる限り正確に把握し、その部位に必要な処置を行うことです。

従来から培われてきた手指の繊細な感覚に、マイクロスコープによる拡大視野を加える。

「手の感覚だけに頼る治療」ではなく、

手の感覚と、見える情報の両方を使った治療」へ。

歯石などの「取り残し」をできる限り減らし、必要以上に歯根面を傷つけないこと。

それが、当院が精密歯周病治療にマイクロスコープを使う理由です。


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